こんにちは、TBです。
今回は消毒液(消毒薬)です。
需要が高まっている消毒液ですが、
成分を見ても、
何がどう違うのかわからない。
何に効くのか、効かないのかわからない。
そういうこと、ありませんか?
- 消毒液の成分について詳しく紹介
- 消毒液の使い分けついて詳しく紹介
- 消毒液の濃度について詳しく解説
- 消毒液について、
詳しく知りたい方 - ドラッグストアをよく利用する人
消毒液の主な成分
一言で消毒液と言っても、
消毒液の有効成分にも種類があります。
消毒液の主な有効成分
- 次亜塩素酸
- ポビドンヨード
- エタノール・イソプロパノール
- ベンザルコニウム
- クロムヘキシジン
それぞれ説明していきます。

◎…効果的!
△…効果はある
×…効果なし
……だよ!
次亜塩素酸
次亜塩素酸は、強い酸化力により、
一般細菌類、真菌類、ウイルス全般に
対する殺菌消毒作用を示しますが、
皮膚刺激性が強いため、
通常人体への消毒には用いられません。
吐しゃ物や、血液などが
床などにこぼれた時の
殺菌・消毒にも適していますが、
有機物の影響を受けやすいので、
殺菌消毒の対象物を洗浄した後に
使用した方が効果的です。
また、次亜塩素酸は
金属腐食性があり、
プラスチックやゴム製品を劣化させます。
漂白作用もあるので、
毛、絹、ナイロン、アセテート、
ポリウレタン、色、柄物などには
使用を避ける必要があります。
酸性の洗剤、洗浄剤と反応して
有毒な塩素ガスが発生するため、
混ざらないように注意が必要です。
次亜塩素酸の有効性
- 一般的な細菌 ◎
- インフルエンザウィルス
(エンベロープあり) ◎ - 麻疹(はしか)
(エンベロープあり) ◎ - アデノウイルスロタウィルス
(エンベロープなし) ◎ - ロタウイルス
(エンベロープなし) ◎ - ノロウイルス
(エンベロープなし) ◎

一般的には
ノロウィルス時の
吐しゃ物の処理後などに
使われているね!
ポビドンヨード
ポピドンヨードは、
ヨウ素の酸化作用を利用した
抗微生物成分です。
独特な茶色で、消毒作用の活性を示し、
手洗いで使用すると、
消毒範囲が見た目でもわかって便利です。
創傷部位、手術野の皮膚と粘膜、
膣、外陰部、口腔、注射部位、
カテーテル刺入部位、手指などに
使用されています。
ポピドンヨードの有効性
- 一般的な細菌 ◎
- インフルエンザウイルス
(エンベロープあり) ◎ - 麻疹(はしか)
(エンベロープあり) ◎ - アデノウイルスロタウィルス
(エンベロープなし) ◎ - ロタウイルス
(エンベロープなし)◎ - ノロウイルス
(エンベロープなし)

即効性で優れているから
うがい薬にも使われてるね!
うがいについてはこちら↑でも
エタノール・イソプロパノール
エタノール・イソプロパノールは、
アルコール分が微生物のタンパク質を
変性させ、それらの作用を
消失させることから、
結核菌を含む一般細菌、真菌類、
ウイルスに対する
殺菌消毒作用を示しますが、
イソプロパノールはウイルスに対する
不活性効果が
エタノールより低くなります。
脱脂による肌荒れを起こしやすく、
皮膚への使用を繰り返し行うには
適していません。
粘膜面や目の周り、
傷のある部分への使用は禁忌です。
揮発性で、引火しやすく、
使用には注意が必要です。

普通に使うなら
エタノールが良いね!
エタノールの有効性
- 一般的な細菌 ◎
- インフルエンザウイルス
(エンベロープあり) ◎ - 麻疹(はしか)
(エンベロープあり) ◎ - アデノウイルスロタウィルス
(エンベロープなし) △ - ロタウイルス
(エンベロープなし) △ - ノロウイルス
(エンベロープなし)
ベンザルコニウム
ベンザルコニウムは、
粘膜に対する刺激が少ない成分です。
主に、
- 手指・皮膚の消毒
- 手術部位の皮膚の消毒
- 手術部位の粘膜の消毒、
皮膚・粘膜の創傷部位の消毒 - 感染皮膚面の消毒
- 手術室・病室・家具・
器具・物品などの消毒 - 膣洗浄
- 結膜嚢の洗浄・消毒
などに使用されます。

掃除なんかにも
使われているね!
ベンザルコニウムの有効性
- 一般的な細菌 ◎
- インフルエンザウイルス
(エンベロープあり) ◎ - 麻疹(はしか)
(エンベロープあり) △ - アデノウイルスロタウィルス
(エンベロープなし) × - ロタウイルス
(エンベロープなし) × - ノロウイルス
(エンベロープなし) ×
ベンザルコニウムについては、
こちら↓にも書いています。
クロムヘキシジン
クロムヘキシジンは、
一般細菌類、真菌類に対して
比較的広い殺菌消毒作用がありますが、
結核菌や、ウイルスに対する
殺菌消毒作用はありません。
皮膚の創傷部位、手術野の皮膚、
手指・皮膚、医療機器、
手術室・病室・家具・器具・
物品などの消毒に使われます。

使いすぎると
肌が荒れるので注意!
- 一般的な細菌 ◎
- インフルエンザウイルス
(エンベロープあり) × - 麻疹(はしか)
(エンベロープあり) △ - アデノウイルスロタウィルス
(エンベロープなし) × - ロタウイルス
(エンベロープなし) × - ノロウイルス
(エンベロープなし) ×
エンベローブって何?

エンベロープあり、
エンベロープなしって、
そもそも
エンベロープって何?
エンベロープ (envelope) は、
一部のウイルス粒子に見られる
膜状の構造です。
これらのウイルスにおいて、
エンベロープはウイルス粒子の
最も外側に位置し、
ウイルスの基本構造となる
ウイルスゲノム、および
カプシドと呼ばれる
タンパク質の殻・層を覆っている。
エンベロープは通常、
宿主細胞膜(リン脂質とタンパク質)に由来し、
ウイルス性糖タンパク質も含み、
宿主の免疫系を回避することを助ける。

…ということは?
エンベロープを何とかすれば
ウイルスも何とかなる?
エンベロープはその大部分が
脂質から成るため
エタノールや有機溶媒、
石けんなどで処理すると
容易に破壊することができます。
このため一般に
エンベロープを持つウイルスは、
消毒用アルコールでの不活化が、
エンベロープを持たないウイルスに
比べると容易です。
エンベロープを持つウイルスの代表例
- 水痘・帯状疱疹ウイルス
- 天然痘ウイルス
- B型肝炎ウイルス
- C型肝炎ウイルス
- 風疹ウイルス
- SARSコロナウイルス
- MERSコロナウイルス
- D型肝炎ウイルス
- インフルエンザウイルス
- 麻疹ウイルス
- エボラウイルス
- ヒト免疫不全ウイルス
……などなど。

消毒と手洗い、大事!
使い分けのポイント
次亜塩素酸とエタノールは
ほとんどの微生物に効果がありますが、
次亜塩素酸は手指消毒には使えないので
手指消毒にはエタノールの方が適しています。
ノロウイルスの確実な消毒には
次亜塩素酸が必要です。
クロルヘキシジン、ベンザルコニウムは、
一般的な細菌に効果がある手指消毒薬で、
刺激や副作用が少なめです。
クロムへキシジン、ポビドンヨードは
目や耳に毒性があるため、
顔には使用しない方が良い、
とされています。
手荒れが気になる場合は
保湿成分が入ったものを選択します。
持ち運び用に、
携帯タイプの消毒液もあります。

便利!
濃度と度数

「濃度」とか「度数」って
具体的にどれくらいが良いの?
一般に
確実なノロウイルスの消毒に必要な
次亜塩素酸の濃度は
吐しゃ物などの
直接の感染源の場合……2.0%
廃棄物や環境消毒の場合……0.1%
……とされています。
ポビドンヨードの場合、
目的とする消毒対象により、
使用時の濃度も変わってきます。
例えば
インフルエンザウイルスの場合、
ポビドンヨード製剤(10%液剤)の希釈倍率
10倍(1.0%)で、
作用時間30秒に対し
ウイルス不活化率99.99%以上
となります。
うがい薬として使う場合、
例えば「イソジンうがい薬」では
「1回で2〜4mlを、水約60mlに薄めて
1日数回うがいしてください」
と指定されています。
正しい濃度で薄めて使用することで、
最大の効果を得ることができます。

濃すぎても
薄すぎてもNG!
クロルヘキシジンの場合、
0.05%液で創傷部位の消毒に有用ですが、
0.5%液など、濃度を誤ると、
ショック症状を発現する可能性があります。
0.02%液が結膜嚢の消毒に
用いられますが、
0.1%を超える濃度で
角膜障害の原因になることもわかっています。

濃度、良く確かめる!
ベンザルコニウムの場合、
原液
=ベンザルコニウム塩化物
10%(w/v)水溶液に対して
適正用量は
手指の消毒には
0.05〜0.1%、
創傷面の殺菌消毒には
0.01〜0.025%、
器械、器具の消毒、
設備、環境の消毒には
0.1〜0.2%、
とされています。
※2020年6月追記
新型コロナウイルスに
有効な界面活性剤として
ベンザルコニウムの場合、
0.05%以上の濃度があれば効果がある、
とされています。

エタノールは?
殺菌(除菌・消毒)に必要な
エタノールの濃度範囲は、
日本薬局方(局方): 76.9~81.4 v/v%
米国薬局方 USP-NF: 68.5~71.5 v/v%
(The United States Pharmacopeia-National Formulary)
WHOガイドライン: 60~80 v/v%
(World Healthcare Organization)
となっています。
エタノールの殺菌効果は
40%あたりから急激にあらわれ、
70%で最大の効果を発揮します。
一般的な
微生物を対象としたものでは
20〜40%濃度での死滅時間が10〜30分、
40〜80%で5分以内、
80〜99%で10〜30分、
……となっています。
70%より高濃度では常温での効果は
中高濃度の場合と変わりありませんが、
0℃以下では
細菌に対して作用し難くなります。
一方、40%以下の低濃度であっても
作用時間を延長できれば
殺菌できることが報告されています。
例えば、30%で30分くらい、
20%では数時間、といった具合です。
殺菌効果が見込める濃度は、
WHOの規定通り、
60~80v/v%の範囲があれば
十分とされます。
論文に記載されている実験結果から、
エタノール濃度63v/v%があれば、
さまざまな菌・ウイルスに対しての
殺菌効果が期待できるからです。
ただし、
人への感染リスクがあると言われている
20種類ほどの抗酸菌の中で、
Mycobacterium intracellulareの
殺菌については、
72 v/v%以上の濃度が必要なため、
WHOのガイドラインの最大値で、
80v/v%の濃度設定がされている、
と思われます。
Mycobacterium intracellulareは、
70v/v%では殺菌できません
一部のノンエンベロープウイルスに関しては、
アルコール濃度が高ければ良い
わけではなく、
アルコール溶液を弱酸性化することや
殺菌時間を長くすることによって
殺菌効果が期待できます。
あらゆる菌・ウイルスに対して、
殺菌、除菌・消毒を行うのであれば
日本薬局方が定める
76.9~81.4 v/v%が必要ですが、
63v/v%の濃度があれば、
一部の菌・ウイルスを除き
十分な殺菌効果が期待できます。
また、
2020年4月17日のプレスリリースでの
北里大学大村智記念研究所
ウイルス感染制御学研究室Ⅰ
片山和彦教授らの研究グループの
発表によると
医薬部外品および雑貨の新型コロナウイルス
(SARS-CoV-2)不活化効果について
エタノールは、50%以上の濃度であれば、
医薬部外品および雑貨の新型コロナウイルス
接触時間 1 分間で
十分なウイルス不活性化が可能だと
考えられた。
(SARS-CoV-2)不活化効果について
とされています。
※2020年4月17日時点
エタノール消毒液商品の
不足状況にあって、
3月末くらいから
酒造メーカーの
醸造アルコールを用いた
「高濃度エタノール製品」も
販売が開始していますね。
新型コロナウイルス感染症対応に伴う高濃度エタノール製品の使用について
厚生労働省による特定アルコールの配布に係る消防法令の運用について

消毒用にも使える!
消毒液、
たとえばこんな商品があります
一般用医薬品の消毒液の商品を
いくつか紹介します。
エタノール76.9~81.4%配合
多くの細菌やウイルスに効果のある
エタノールの手指消毒液です。
有機酸などの配合で
ノンエンベロープ・ウイルスにも
効果が期待されています。
エタノール76.9~81.4%配合
スプレータイプと同じく
広範囲のウイルス、細菌に
効果のある
エタノールの手指消毒液です。
添加物として
リン酸、グリセリン、アラントイン、
ミリスチン酸イソプロピル、
グリセリン脂肪酸エステル、
パラオキシ安息香酸エチル、
N-ヤシ油脂脂肪酸アシル-L-アルギニンエチル
DL-ピロリドンカルボン酸塩
ヒドロキシプロピルセルロース
……が、配合されています。
携帯用の小さめのタイプも
販売されています。
ベンザルコニウム0.05%配合
皮膚への刺激が少ない
ベンザルコニウム配合の
手指消毒液です。
添加物として
エタノール、
ヒアルロン酸
……が、配合されています。
保湿成分であるヒアルロン酸も
配合されているので
手荒れが気になる人にもオススメ。
携帯用のジェルタイプもあります。

お薬は、用法・用量を守って
正しくご使用ください。
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