今日は
かぜをひいた時の漢方薬の選び方についてです。
漢方薬って種類がたくさんあって、
パッケージに書いてあることも
どうもピンとこない、
どういう時にどれを選べばよいか、
よくわからなくないですか?
今回はそこを中心に解説していきます。
- 西洋薬と漢方薬の違いがよくわからない方
- 漢方薬の選び方がよくわからない方
- かぜの漢方薬のことが知りたい方
漢方のかぜ薬と西洋薬との違い
西洋薬の風邪薬=総合感冒薬は
直接的に症状を抑えますが
漢方薬の場合、
自然治癒力を高め、恒常性機能を正常に保つ
=身体全体の調子を整えるように
はたらきかけます。
症状は身体の状態が正常ではないから現れるので、
それを正そう、というわけです。
また、直接的な症状だけではなく、
全身の倦怠感や、食欲不振などにも対応、
胃腸障害や眠気を引き起こさないのも特徴です。
漢方薬のかぜ薬の使い分け
漢方薬のかぜ薬の選び方、使い分けには
2つのパターンがあります。
かぜのタイプで使い分ける
漢方薬でいう風邪には2種類のタイプがあります。
背中や首がゾクゾクする、さむけからくるかぜと、
のどの痛みから来る、熱感のあるかぜです。
かぜの時期で使い分ける
漢方薬の考え方でいうと、かぜは
- さむけがする、のどの痛みがある、
鼻水、熱っぽい感じがする
- 熱が出る、のどが腫れる
- せきやたんが出る
- 下痢や食欲不振などの消化器症状
- 全身の倦怠感
の、3段階に分けられます。
かぜの漢方薬各種の説明と
具体的な使い分け方
3段階、2種類のかぜに対応した
かぜの漢方薬各種を紹介します。
ひきはじめの時期に
麻黄湯(まおうとう)
さむけのあるかぜのひき始めで、
- さむけが強く、熱が高い時
- 身体の節々が痛い時(関節痛)
- 咳が出る時に
発汗、解熱作用が強いので、
高齢者や胃腸が弱い人、
汗をかいている人は使用禁忌。
熱が下がったら服用を中止してください。
葛根湯(かっこんとう)
さむけのあるかぜのひきはじめで、
- 頭痛や発熱(そこまで高くない)がある時
- 肩こりがある時に
発汗解熱作用、鎮痛鎮痙作用があり、
栄養を補う成分も含まれているので
高齢者や胃腸が弱い人にもおすすめ。
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
さむけのあるかぜのひきはじめで、
- 透明で大量の鼻水、くしゃみがある時に
(花粉症やアレルギー性鼻炎にも)
眠くなる成分が入っていないので、
仕事中や、車を運転するときにも
服用できます。
銀翹散(ぎんぎょうさん)
熱感のあるかぜのひきはじめで、
- のどの痛みが強く、頭痛、発熱、
口が渇く感じがする時に
消炎・抗菌・解熱作用が強いので、
のどの痛いかぜにおすすめ
4つの漢方の使い分け
まとめ
- さむけがするかぜで、
胃腸が弱い人、高齢者の方は
葛根湯(かっこんとう) - さむけがするかぜで、
上記に当てはまらない人は
麻黄湯(まおうとう) - さむけがするかぜで、
特に鼻水やくしゃみが酷い時は
小青竜湯(しょうせいりゅうとう) - 熱感のあるかぜで、
発熱やのどの痛み、
口の渇きがある人は
銀翹散(ぎんぎょうさん)
最盛期
五虎湯(ごことう)
- 熱感のあるかぜの強い症状に
- 激しいせきが出る
- 黄色の粘っこい痰が出る
- 身体を温めるとせき込む時に
鎮咳作用や、消炎作用で
かぜの咳症状を緩和します。
薬剤を口に含み、常温の水で
ゆっくりのどを通す風に飲むと
効果的です。
甘草湯(かんぞうとう)
さむけのあるかぜで、
- のどが痛い時に
- 発熱がなく、のどだけが痛いかぜに
- 激しくせき込む方に
(口内炎、しわがれ声にも)
消炎・鎮痛作用により、
かぜによるのどの痛みを改善します。
薬剤を口に含み、ゆっくりのどを通す風に
飲むと効果的です。
頓服として利用します。
2つの漢方の使い分け
まとめ
- 熱感があるかぜで、
激しい咳が出るときは
五虎湯(ごことう) - さむけがするかぜで、
のどが痛い、 激しくせき込むときは
甘草湯(かんぞうとう)
長くこじれたかぜに
柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
- さむけがするかぜをこじらせた時に。
- 腹痛を伴った微熱・食欲不振・
吐き気・身体がだるい時に - かぜによる下痢、食欲不振、吐き気に
- 微熱が続き、すっきりしないときに
- かぜが長引いて悪寒・発熱・頭痛などの
かぜの症状が残っている時に
長引くかぜで食欲がない、
吐き気、腹痛などの胃腸症状がある、
さむけや頭痛など、
かぜの症状が残っている方におすすめ。
しょうが湯や、白湯など、
身体を温める飲み物で飲みます。
竹茹温胆湯(ちくじょうんたんとう)
さむけのあるかぜから、
熱感のあるかぜにこじれた時に。
- 熱症状は治まってきたが、微熱が続く時に
- 黄色い痰がともなう咳がぬけない時に
- 長引いたかぜで、気分がすっきりしない時に
- インフルエンザや、肺炎の回復期に
熱が長引いたり、
平熱でも気分がさっぱりせずに、
せきや痰が多くて安眠できない時にも
かぜ後期で微熱があり、
せきや黄色い痰が気になる方に。
痰が多い咳がある症状に。
食欲がない、吐き気、腹痛などの
胃腸症状がある、
気分がすっきりしない時におすすめ。
常温の水で服用します。
麦門冬湯(ばくもんどうとう)
熱感のあるかぜがこじれた時に
- かぜ後に咳だけが抜けない、
慢性的な乾いた咳、
乾燥した部屋にいるとせき込む時に
呼吸器系を潤し、鎮咳去痰作用があり、
痰がからむ咳や乾いた咳に適しています。
常温の水で飲み、水分を多めに取ると
効果的です。
3つの漢方の使い分け
まとめ
- さむけがするかぜをこじらせた時は
柴胡桂枝湯(さいこけいしとう) - 熱感があるかぜをこじらせた時は
竹茹温胆湯(ちくじょうんたんとう) - 熱感があるかぜで、咳だけが残る、
空咳、声がれがあるときは
麦門冬湯(ばくもんどうとう)
かぜの治療 基本は生活習慣から
漢方のかぜ薬は、
かぜのタイプ(さむけがするか、のどが痛く熱感があるか)と
かぜの時期(ひきはじめ、最盛期、こじらせている)で
使い分けましょう。
ですが、
西洋薬も、漢方薬も、
薬はかぜを治すものではなく、
あくまで
症状をおさえて、楽にするだけの、補助的なもの
です。
治すのは自身の免疫力・治癒力。
体力の回復とともに、身体の免疫で治療されます。
かぜの治療の基本は
安静・保湿・栄養です。
薬の服用とともに、
睡眠を十分にとり、
栄養価の高く消化の良い食事を摂り、
体力の回復にも努めましょう。
お薬は用法・用量に注意して、
正しくご利用ください。
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