今回は使っている参考書のレビュー記事です。
現在も何種類か医薬品やその他、
仕事に関する本を持っていますが、
一番最初に買った2冊のうちの1冊がこの
今日のOTC薬 解説と便覧 です。
尚、レビューは手元にある
改訂第三版をもとにしています。
現在は第5版も出ているので
最新版ではありませんが、
参考にしていただければ幸いです。
本書の構成
本書はフロチャートと便覧、解説からなる
3部構成となっています。
その前に序文(改訂第3版)と序文(初版)が
載っていますが、すみません
読んでません。
今回このレビューを書くにあたって
改めて読みなおしましたが、
初版版の序文が2009年3月になっています。
2009年といえば、
登録販売者制度が始まった年でもあり
(施行が6月1日)
序文の始めも
OTC 医薬品(一般用医薬品)は、
一般人が、薬剤師等から提供された
適切な情報に基づき、
自らの判断で購入し、
自ら責任で使用する医薬品である。
となっており、
「等」で登録販売者(薬剤師以外)に、
「自らの判断で購入し、
自ら責任で使用する医薬品である。」で
セルフメディケーションについて
言及していることから、
(その後それらについても言及していますが)
この本は登録販売者制度成立後に出来た、
成立後に合わせた
登録販売者を含む医薬品関係者に向けた
最初の書籍のうちの1冊だったことが伺えます。
内容的には
この本が医薬品販売従事者にとっての
教科書になれば、
というようなことが書いています。
初版の方だと薬剤師等が頻繁に出てきて、
登録販売者は制度として言及されているだけ
なのですが、
第三版の方では薬剤師も登録販売者も
出てきていません。
また、初版の方では新制度施行に向けた
堅苦しさというか、厳重な注意が
書き連ねられているのですが、第三版の方では
軽く、というか気持ちマイルドになっています。
制度として成熟してきている、
という認識で良いのでしょうかね。
手元には第2版と第4版がないので、
そちらの方も読んで、比べてみたいですね。
本書の使い方
フロチャート、解説、便覧の
3構成になっていることは書きましたが、
使用する際の理想的な手順としては、
- まず、患者さん(お客さん)に
詳しい説明を聞いて、 - 症状別のフロチャートを読んで、
適切な成分を把握 - 成分について詳しく知りたい場合は解説へ
- 症状にあった商品をすぐ検索したい場合は
便覧へ
といった流れになっています。
フロチャート
使い方として、
本書では下のような形を推奨しています。
STEP1 患者の症状が受診勧奨に当てはまるかを確認
STEP2 患者の詳しい症状を選択
STEP3 患者の背景から注意すべきポイントを確認
STEP4 患者の症状にあった最適な成分を把握
実際に(はい/いいえ)に分かれた
フロチャートで読み進めていって
背景からのトリアージ
(優先順位=要はどんな症状か)
(この教科書の場合で提示された例のうちの
どれが一番近いか)に進み、
最適と思われる薬が導き出されます。
その際に患者さんの背景からの
注意も提示されていて、
一般用医薬品に関しては、
この本があれば
薬剤師も登録販売者も
要らないんじゃないか
と思ってしまうくらい便利です。
そういう意味で、薬を買う際の手引書として
医療従事者の方以外にもお勧めです。
ただ、実際に我々が売り場に立って、
という現実的に見てみると、まず
本を見ながらチャートに従って読み進めて
薬を勧めてくる薬剤師や登録販売者
ってお客さんの立場から見てどうですか?
そりゃ、間違いはない、
起きづらいかもしれないですが、
自分がお客さんの立場だと
何か良く理解してない人に勧められて薬を買う感じ
で、ちょっと嫌ですよね。
特に薬は健康に関係するものなので、
お客さん目線だとちょっと不安になりかねないと、
僕は思ってしまいます。
なので最初に、
「使用する際の理想的な手順といては」
と書きました。
こんなこと、
この本のどこにも書いていないのですが、
お客さんに勧める、説明する際にはやはり、
カンペのようなものを見て
その通りに説明するのではなく、
自分の知識、自分の説明でお勧めしたいと
僕は思うので、そういう意味でもこの本は
教科書、あるいは辞典、辞書のようなものである、
と僕は思っています。
本番で教科書見ながらってないですから。
僕の考える本書の使い方
目次を見ますと症状別フロチャートは
全27項目あります。
多そうに見えますが、実は
6~59ページ(53ページ分)しかありません。
この本は
それぞれの症状に対して読み進めていって、
勉強するための本じゃないかな、
と僕は思います。
そして、その全てに対応できるようになった時、
パーフェクトな登録販売者になれる、
と思っています(が、そこまで行っていません)。
仕事が楽しくなってくると読んでいて面白いし、
理解も深まります。
患者背景の項目が面白くて
(という表現が適切かどうか微妙ですが)、
背景からの注意が細かく書いていて
とても良いのです。
登録販売者資格の試験範囲じゃ
(多分)こんなことやってないよ!
というようなことが結構書いています。
理解していくと
専門家としてのレベルが上がる感じが楽しめます。
患者背景についてだけは、
お客さんの健康にも直接関係してくるので、
どうしてもまずい時、困った時は切り札として
使っても良いかもしれません。
お客さんの健康が最優先です。
解説と便覧
59ページまでのフロチャートの後、
60ページ目から解説と便覧になります。
1項目ごとに解説数ページ
(症状によって違う)の後に
便覧数ページ、
という構成になっています。
フロチャートにはそれぞれの解説、便覧の
該当ページも書いていますので、
そこから飛べます。
第4版以降では修正されているかもしれませんが、
第3版ではおそらく間違いと思われる
記述があって(?)
発熱
37℃以上を発熱とし、37~39.7℃を微熱、38~38.9℃を中等度発熱、39℃以上を高熱という。
とあるのですが、この記述だと正しくは
37~37.9℃を微熱だと思うのですが、
どうでしょう。
テキストなどによく入っているような
誤植訂正の用紙などは入ってなかったと思います。
普通に読んだらわかるからまあいいのかな(?)
解説では、
それぞれの症状の原因と発症のメカニズム、
薬が効果を示す症状、
薬の作用、
それぞれに対応した選ぶべき成分、
選んではならない成分が書いてあり、
便覧では
発売されている薬の商品名、
入ってる有効成分とその効果などについて、
表で書かれています。
巻末の方では
漢方製剤について、
妊婦、授乳婦に対するOTC薬の選択などがあり、
更に薬の体内動態
(体の中でどんな風になって効くのかの説明)や、
付録として
検査薬や、重大な副作用について
書かれた項もあります。
巻末には主な製薬企業の連絡先も載っていて、
本当にこれ1冊あれば充分かな、
と思えるような内容です。
(いや、僕はあと数冊持っていますが)
初心者も中級者も、医療従事者以外も
本書は
登録販売者制度施行に焦点を合わせて作られた
一般用医薬品の教科書です。
登録販売者初心者からお使いいただける
内容になっております。
また、初心者から一歩踏み出した人が読むと、
尚理解が深まって面白く思えることでしょう。
医療従事者以外の、一般の方には
市販薬の辞典としてもお使いいただけます。
薬の教科書、参考書、辞典、として、
持っておきたい1冊です。
ということで、今回は
「今日のOTC薬 解説と便覧」の紹介でした。
参考になれば幸いです。
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